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写真243 船に乗りやすいスロープ

堀川運河の本流に戻り、下流へいくと油津大橋近くの西岸に、四角タンポリ、三角タンポリと呼ばれる貯水池のあった場所があるが、今回の調査ではその跡は確認できなかった。大型店舗のある油津大橋下流西岸の護岸は石積が結構残っており、石積の部分は低く、係留された船に板でもって簡単に乗ることができる。対岸は堀川に面して水面に近い小路があり、柳がそよ風に揺れる風情豊かな散策路に絶好の場所である。この小路の辺りの護岸は所どころ古い石積が残っており、コンクリートで補強する場合、このように水に面するところを重点的に施し、しっかりした石積にはまだ頑張ってもらうといったやり方がふさわしいだろう。ただ全てコンクリートで固めてしまうのでなく、石積も生かしつつ補強するという考え方が歴史や風土に適した景観つくりを出す基本的なあり方ではなかろうか。

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写真244 議岸の家々

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写真245 護岸の家並

いよいよ堀川橋にさしかかろうとする所から両岸に堀川に迫り出した家々が軒を連ねだす。護岸は古いものからコンクリートのものまである。この辺りの護岸はその上に建つ家々によって違っているが、その家の人が自ら護岸の改修を施しているのだろうか?コンクリートやスチールの支柱によって支えられているものもあり、統一された美しさとは違い、バリエーションに富んだ様々な表情が目を楽しませてくれる。この中でも古い石積の中に、先に出てきた石堰堤と同じ逆さ扇状の積み方があることに驚いた。これほど改修の多い箇所で残っているとは。護岸をそれぞれ治していったが為に生き残れたのかもしれない。
堀川橋のすぐ上流は、西岸は橋の高さの護岸が往復積の石積で70〜80メートル続き、東岸は堀川橋より一段低い家が建ち並び、橋を越えて下流まで続いている。一番橋よりにある家の護岸の石積の所に堀川に下りるための通路があり、木の戸がついている。石積は往復積で古い石材を補修しながらよく保存してある。

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写真246 堀川運河に接して立つ町家

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写真247 積み直した石垣

 

 

 

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